医療を受けている本人が助かる見込みのない状況になったときを、一般に「終末期」と言います。

　ご家族が、医師から「これ以上治療しても回復の見込みがありません」と伝えられた時に、ご家族はどう決断すべきか悩むことでしょう。

　ご本人に意識があれば、もちろんご本人の意思が尊重されますが、終末期ではご本人に意識がない、意識があっても判断能力がない場合が多く、家族にその判断を任せられることが通常で、判断するご家族の精神的負担は計り知れません。

　その時にご家族が悩まないために、ご自身の死の迎え方についてご家族と事前に話し合っておくことも非常に重要ですが、ご自身の医療に関する意思表示を書面で明確に示しておくこともお勧めいたします。

　「尊厳死」とは、ご本人に意識がない、意識があっても自身の意思を表示できない死期の迫った終末期において、死期を伸ばすだけの延命措置人を断り人としての尊厳を保ったまま死を迎えることを言います。

　尊厳死を希望する意思を「尊厳死宣言書」により示すことで、その実現性が高まります。尊厳死宣言書はご自身でも書くことはできますが、公証役場で「尊厳死宣言公正証書」として作成されることをお勧めします。

　「尊厳死宣言書」は法律で書き方が決まっているものではありませんが、現実に即して以下の内容を盛り込む必要があります。