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被相続人の配偶者が、被相続人が死亡した後も一緒に住んでいた住居でそのまま生活を継続したいと願うことは少なくないでしょう。そのような場合に、配偶者が居住建物を無償でそのまま使用できる権限(居住権)だけを取得し、それ以外の権限(譲渡などの処分権)は有さないとすることで、居住建物そのものの所有権を取得するよりも低廉な価格で居住権を確保することができるようにした制度が「配偶者居住権」です。
配偶者居住権の制度は、相続が開始したときに、被相続人の財産である建物に住んでいた配偶者に無償でその建物に住み続ける権利を認めることによって、遺産分割の際に、その建物の所有権そのものを取得する場合よりも低廉な価格で配偶者が、その建物に住み続けることができるようにした制度です。
具体的な例でいうと、相続財産が、自宅不動産5000万円と金融資産5000万円で相続財産総額が1億円であった場合、配偶者の法定相続分は2分の1の5000万円であるため、自宅不動産の所有権を取得してしまうと、金融資産は受け取れないことになります。そこで、配偶者がほかの相続人との間で配偶者居住権のみを取得する遺産分割協議をした場合、配偶者居住権の評価額を2500万円とすれば、残りの2500万円を金融資産で受け取ることができるようになります。このようにすることで、配偶者は自宅で住み続けながら老後の資金を確保することができることになります。
配偶者居住権は、配偶者が相続が開始した時点で、被相続人の所有する建物に住んでおり、かつ、配偶者がその建物に住み続けることに相続人全員が合意した旨の遺産分割をする必要があります。
ただし、その建物が、被相続人の他に第三者(配偶者以外の)との共有で所有していた場合は、配偶者居住権は成立しないことに注意が必要です。
この制度の最大のメリットは、配偶者が「配偶者居住権」を取得した場合に、その財産的価値に相当する金額を取得したことになるので、配偶者が受取るべき相続分から「配偶者居住権」評価額を引いた残りの分を金融資産などで受け取ることができることです。
遺産分割協議書
第1条 被相続人の配偶者〇〇は、被相続人名義の下記建物について、存続期間をその終身の間
とする配偶者居住権を取得する。
記
(建 物)
所 在 〇〇区〇〇町1丁目1番1号
家屋番号 〇〇
種 類 居宅
構 造 木造瓦葺2階建
床 面 積 1階 120.33㎡
2階 100.00㎡
第2条 被相続人の長男〇〇は、前条記載の建物及び下記土地を相続する。
(建 物)
所 在 〇〇区〇〇町1丁目
地 番 1番1
地 目 宅地
地 積 250.33㎡
第3条 被相続人の長男〇〇は、被相続人の配偶者〇〇に対して、第1条記載の建物について、第
1条に記載の配偶者居住権の設定の登記手続きをする。
配偶者居住権は、無償で建物を使用し続けることができる権利であり、原則として配偶者が死亡するまで存続します。ただし、遺産分割協議によって存続期間を定めることもできます。
建物を使用する権利ですので、居住するだけにとどまらず、建物の一部で飲食店などの商売をすることも可能です。そして配偶者居住権は法務局で登記することもできるため、登記が備わった場合には、第三者にも対抗できる権利となります。
ですので、もし建物の所有者が別の第三者に建物を売却してしまった場合でも、配偶者は登記があるかぎり、生涯にわたってその建物に住み続けることができることになります。
配偶者居住権は、「賃借権」に準ずるものであるため、配偶者居住権を取得した配偶者は、その建物の所有者に対して「善良な管理者の注意をもって」(自分の持ち物と同様の注意を払って)その建物の使用および収益をしなければなりません。
また、配偶者居住権は、配偶者が相続開始後も、従前の居住環境での生活を継続することを保護するために特に認められた権利のため、「一身専属」(本人にのみ与えられた権利)のものとして、第三者に譲渡することはできません。
こちらではお役立ち情報について書かせていただきます。
どうぞご参考になさってください。
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